金沢で一番気に入った場所は、石川県立図書館だったの写真

金沢で一番気に入った場所は、石川県立図書館だった

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金沢で一番気に入った場所はどこだったかと聞かれたら、今回の私は迷わず答える。

石川県立図書館。

自分でもちょっと意外だった。

というのも、最近の私は、本を持ってじっと座って読むのがかなりしんどい。長い文章を最初から最後まで追いかけるより、オーディブルで聞くほうがずっと楽になった。図鑑なら楽しく読めるけれど、「さあ一冊読もう」と座ると続かない。そんな私が、図書館で何時間も過ごすとは思っていなかった。

しかも最後まで、かなり楽しかった。

建物に入った瞬間から、もう楽しい

まず建物がいい。

石川県立図書館の外観

外から見てもかなり立派だけれど、中に入ると中央に大きな円形の吹き抜けが広がっている。木と暖色の照明が多く使われていて、大きな公共施設なのに冷たい感じがしない。

石川県立図書館のエントランス

上の階へ行って振り返ると、円形の書架と吹き抜けが何層にも重なって見える。

石川県立図書館の円形吹き抜けを見上げた様子

館内の椅子もカラフルで、形もいろいろ。座るための家具まで含めて空間が作られていて、ただ館内を歩いているだけでも楽しい。

円形の書架が広がる石川県立図書館の館内

そして、私にとってかなり重要だったのが匂い。

私は、図書館によっては感じる、古い紙と湿気と空調が混ざったような独特の匂いがはっきり苦手だ。石川県立図書館では、それをほとんど感じなかった。

どれだけ建物がおしゃれでも、長くいる場所では匂いも大事。ここは本当に快適だった。

「知らなかった自分の興味」に出会う

この図書館で特に好きだったのが、従来の分類とは別に本を並べたテーマ棚。

石川県立図書館では、司書が選んだ約8万冊を「仕事を考える」「世界に飛び出す」「日本を知る」など12のテーマで並べている。公式サイトでも「ウィンドウショッピングのように」本と出会える棚として紹介されている。

その中に「好奇心を抱く」というテーマがある。ここがかなり面白かった。

呪術の本があったと思えば、きれいなカエルの本があり、きのこ盆栽があり、ファミ通があり、ボードゲームがある。『チョコレート効果レシピ』を開いたら、なんとチョコレートおでんまで載っていた。

普通の分類なら全部別々の棚に散らばるものが、「好奇心を抱く」という一言で一緒になる。

これがいい。

検索って、自分がすでに知っている言葉を入力しないと始まらない。でもこういう棚は、

「自分が興味を持つとは知らなかったもの」

を向こうから見せてくれる。この図書館で感じた面白さは、かなりそこにあった。

4階で、本そのものの歴史に触れる

館内を歩いていて、特に長くいたのが4階。ここには、いろいろな言語の『星の王子さま』、19世紀のブリタニカ、そして1925年の『キング』創刊号まであった。

本を借りるための棚というより、本そのものの歴史を見に来たような気分になる。

いろいろな言語で出版された『星の王子さま』がずらっと並んでいる。

いろいろな言語で並ぶ『星の王子さま』

フランス語、ドイツ語、ポルトガル語、中国語、韓国語、ベトナム語。アラビア文字の版もある。同じ作品なのに、言語が変わるだけで表紙の雰囲気まで少しずつ違う。

一冊を最初から最後まで読まなくてもいい。知っている言語の版を少し開いて見比べるだけでも楽しい。棚だけで、小さな世界一周をしているみたいだった。

その近くに、明らかに古そうな百科事典が並んでいた。

背表紙には、ENCYCLOPAEDIA BRITANNICA NINTH EDITIONの文字。

石川県立図書館に並ぶ古いブリタニカ百科事典

ブリタニカ百科事典の第9版で、刊行されたのは1875〜1889年。背表紙は擦れ、角は削れ、紙も波打っている。100年以上前の本だ。

驚いたのは、これがガラスケースの中に展示されているだけではなく、実際に手に取って中身を見ることができたこと。

「え、これ触っていいの?」とちょっと緊張した。これだけ古い本を持って、もし落としてしまったら大変だと思うと、ページを開くだけでドキドキする。

きれいに保存された歴史資料を見るのとは違って、100年以上前に作られた本の重さや紙の感触を実際に感じられる。それだけでもかなり面白い体験だった。

4階で特に夢中になったのが、1925年の『キング』創刊号。これがあまりに面白かったので、別記事にしました。

本棚に並ぶ雑誌『キング』

『キング』は大日本雄弁会講談社が1925年に創刊した月刊の大衆雑誌。その後、1927年の新年号で100万部を突破した。実物を読んだら、「昔の有名な雑誌」という説明だけでは全然足りなかった。普通に面白い。

石川県立図書館は、「一冊の本を静かに読み切る場所」というより、

巨大な知的セレクトショップ

みたいだった。

歩いて、気になるものを見つけて、少し開いて、また歩く。私にはその使い方がかなり合っていた。

今回は、一人で来てよかったとも思う。誰かと一緒だったら、100年前の雑誌を何十分もめくったり、気になった棚の前でいつまでも立ち止まったりするのは、少し遠慮していたかもしれない。

今回は、気になるものがあれば止まり、飽きたら次へ行き、また気になったら戻る。自分の好奇心の速度で歩けた。

こういう場所は、一人旅との相性がかなりいい。

読むだけではなく、作って、かぶる

本だけでも十分面白かったのに、さらに2階にはモノづくり体験スペースまである。3Dプリンタ、UVプリンタ、レーザーカッターなどが並び、私が行ったときも実際に3Dプリンタが動いていた。

石川県立図書館のモノづくり体験スペースにある3Dプリンタ 石川県立図書館のモノづくり体験スペースにあるUVプリンタ

見学用に置いてあるだけではない。3Dデータを使って自分でデザインしたフィギュアやおもちゃ、アクセサリーなどを作ることができ、「こういうデータで作れるか?」と相談してオリジナルグッズを制作することもできる。館内展示と連動したワークショップやイベントも行われている。

私が見た案内でも、データを持ち込んで作品を作れそうだった。

3Dプリンタで制作している様子

近所に住んでいたら、絶対いろいろ試したい。そして私は、透明なアクリルのUFOしおりを作ってもらった。

石川県立図書館で作ってもらったUFOしおり

今回の金沢旅行で、まったく予定していなかったお土産。

読むだけではなく、

知る → 興味を持つ → 作ってみる

まで図書館の中にあるのがいい。

さらに館内には、能面を実際につけて写真を撮れるコーナーまであった。

石川県立図書館で能面をつけて撮影した写真

図書館に来て、100年前の雑誌を読み、3Dプリンタを眺め、UFOのしおりを作り、最後は能面をかぶる。

だんだん自分でも何をしに来たのかわからなくなってくる。でも、それがこの図書館の面白さなのだと思う。

最後はカフェでソフトクリーム

館内のカフェHUM&Go#もよかった。

石川県立図書館内のHUM&Go#のカフェスペース

大きな窓の向こうに緑が見えて、普通のテーブル席やソファ席だけでなく、靴を脱いでくつろげるお座敷のようなスペースもある。

石川県立図書館内のHUM&Go#のカウンターとソファ席

図書館の付属カフェというより、ここだけでも普通に居心地がいい。HUM&Go#は石川県立図書館の館内カフェで、平日は19時、土日祝は18時まで営業している。

私が食べたのは、ほうじ茶とバニラのミックスソフト。

HUM&Go#で食べたほうじ茶とバニラのミックスソフト

これがおいしかった。

ほうじ茶の香ばしさはちゃんとあるけれど苦すぎず、バニラと合わせるとちょうどいい。

これはおすすめ。 他のメニューもおいしそうだったので、次に来たら別のものも食べたい。

「知らなかった自分の興味」を見つける旅

これまで行った普通の図書館の中なら、石川県立図書館が一番好きだった。ちなみにウィーンの図書館は、あれはもう宮殿・博物館枠なので別カウントにしたい。

石川県立図書館の何がよかったのか考えると、建築がきれいだからでも、蔵書が多いからでもない。もちろんそれもいい。

でも一番は、

「知らなかった自分の興味」を次々見つけられたこと。

本をたくさん読まなくてもいい。少し見る。気になる。また別のものを見る。その繰り返しだけで、何時間も過ごせた。

図書館を出るころには、「この近くに住みたい」とまで思っていた。

今回、金沢という街自体もかなり好きになった。必要なものはちゃんとあるのに、人が多すぎず、少し中心部を離れると空間がゆったりしている。東京や大阪のように、どこへ行っても人と建物に囲まれている感じが薄い。

こんな街の日常圏に、この図書館がある。仕事や用事がない日にふらっと来て、知らない本を眺めて、何か作って、ソフトクリームを食べて帰る。そんな生活、かなりいい。

金沢に行く人には、兼六園や美術館だけでなく、石川県立図書館もぜひ候補に入れてほしい。本をたくさん読む人じゃなくても、たぶん楽しめる。むしろ、最近あまり本を読んでいない人にこそ、面白い場所かもしれない。

施設情報

住所 石川県金沢市小立野2丁目43番1号

開館時間 火〜金 閲覧エリア 9:00〜19:00 文化交流エリア 9:00〜21:00 土・日・祝 閲覧エリア・文化交流エリア 9:00〜18:00

休館日 月曜日(祝日の場合は翌平日)、年末年始、特別整理期間など。

モノづくり体験スペース 2階。現在は水・木15:00〜18:00、土10:00〜16:00が基本。体験メニューは申込不要で、3Dプリンタ、UVプリンタ、レーザーカッターなどを使える。オリジナルグッズ制作の相談もできる。

※施設情報は2026年9月時点。最新情報は公式サイトで確認してください。

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